英国詩

雨の日の桜も悪くない。
ワタシは桜の季節になると必ず思い出す詩がある。
A・E・housmanのLovelist of tree ー世界で一番いとしき花ー 
短大は英語科だったので授業に英国詩があった。
数多く学んでいくつか今でも覚えている詩があるけど
まさに、これもそのひとつ。
Loveliest of trees,the cherry now
Is hung with bloom along the bough,
And stands about the woodland ride
Wearing white for Eastertide.
Now,of my threescore years and ten,
Twenty will not come again,
And take from seventy springs a score,
It only leaves me fifty more.
And since to look at things in bloom
Fifty springs are little room,
About the woodlands I will go
To see the cherry hung with snow.
この世で一番いとおしい花 桜は今
枝いっぱいに咲き誇りながら
森の乗馬道の傍らに立っている
復活祭の真っ白い衣装を着て
私の寿命の70歳のうち
20年はもう戻ってこない
70年分の春からその年を引けば
もはや50年しか残っていないのだ
この花の盛りを眺めるには
50年分の春ではあまりに少ない
だから私は森の道に行く
雪のように白い桜を見るために
直訳すると
「は?」
って感じだけど、
当時19歳のワタシにはさっぱり解読できなかった。
教授の授業もおくが深くてついていくのに必死だった。
でも、この詩はとってもよく覚えている。
詩は人、国によって解釈が違ってくるけど、
ワタシは教授の和訳が好きだった。
桜は同じ時期に同じように花開く。
そして、桜の季節には「あ、また桜が咲いたな。去年見たしね」
と思いがちだが 今年の桜は去年の桜ではない。
20歳のときに見た桜、21歳22歳どれも同じではない。
22歳のときに、20歳のときに見た桜を見るなんてことは不可能だ。
そして40の時に見た桜、50歳のときの桜も感じ方、風景もまた本人の心理状態もちがう。
そう思うとあと50回しかないなんて!
だからこそ、 時間を作って今年咲く桜を見に行くことがつまらないことのようでも
もう戻ることのない人生の大切な時間なのだ。
みたいな和訳をしたような気がする。
つまりは、
同じような時の流れが続いて
一見 変わらない毎日の繰りかえしだけど、
今という時間は 決して戻ることはない
二度と戻らない人生を大事に生きろ
ということだ。
当時。「君たちにはまだ 分からないかもしれないな」
といわれた。そう、ちんぷんかんぷん。 
30くらいから やっと本当の意味を理解できたような気がする。
桜の季節になると 毎年必ず思い出す。
教授。 英語科に進学してよかったです。